看護管理学の視点から、DXしやすいのが「搬送業務」でした
導入施設:東京女子医科大学附属八千代医療センター
攻殻機動隊のタチコマがインスピレーションに
アニメ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』で、タチコマというロボットが老人ホームで働くシーンをご存知でしょうか。私はこれを見た時に、「これからの医療に必要なのはこれだ!」と思いました。そんな想いを胸に、看護業務に関する研究を行うことになった私は、病院で働く看護師たちが1日の中でどんな業務にどれだけの時間を割いているのか、また何を感じながら働いているのか、観察や聞き取りを行う継続的な調査を開始しました。その中で見えてきたのは、物を取りに行く、報告に行く、ゴミを片付けるといった「病棟内を行き来する時間」が、どの病院でも上位を占めているという実態です。
看護の仕事とは本来、患者さまとともにあるべきです。例えば医療知識のいらない搬送業務など、看護師じゃなくてもできる仕事をロボットに任せることができれば、これまでの負担を軽減でき、患者さまにとっても常に看護師がそばにいる安全な環境を整えることができます。このようなロボットとのタスクシェアを検討していた時、本気で話を聞いてくれたのが川崎重工業さんでした。ご担当者の親身なサポートもあり、数年の議論を経て、2026年に晴れて八千代医療センターでのFORRO導入が決まりました。
FORROの業務改善効果は、未来社会への大きな一歩
医療現場のスタッフは、毎日の仕事を安全に、確実にこなすだけでも手一杯。ロボットという新しいツールの導入には、操作を覚える手間がかからないことも重要なポイントになります。その点、FORROは直感的でわかりやすく、現場に定着するのもとても早かったです。
業務改善効果としては、日中は看護補助者が移動に費やしていた時間を別の業務に充てられるようになり、夜間や週末は看護師が持ち場を離れずに済むようになりました。追加で物を運ばなければいけなくなった際も、人に頼むのは気が引けるけれど、FORROなら遠慮せず任せられるといった声もあります。ある循環器病棟の看護師は、人手の薄い夜間、検体や薬のやりとりで心電図モニターの前を離れることが不安だったけれど、FORROが来てからはモニターチェックに専念できるようになったと喜んでいました。
「かわいくてシゴデキ」なFORROは、今では病院で働くチームの一員としてすっかり受け入れられています。この成果は、今後人とロボットとの協働が増えていくであろう未来社会を考える上で、大きな一歩だと感じています。