
人とロボットが暮らしの中で交差する未来のマンション
東京都港区の三田ガーデンヒルズの開発を担当。FORRO PORTER導入のマンション側の設計開発に携わる。
人の流れの間をロボットが走る、先進的な住空間
三田ガーデンヒルズは、敷地面積約25,000㎡を誇る旧逓信簡易保険局庁舎跡地に誕生した、総戸数1,002戸からなる都心の大規模レジデンスです。様々な方が共存するビッグコミュニティになることから、ハード・ソフトの両側面で多様な価値観に応えることが求められました。
自動配送用ロボットのお話を最初に伺ったとき、決められたルートをシンプルに動くだけのイメージをしていました。しかし想像とは異なり、FORROはマップを1回読み込ませるとそれを学習し、周辺の状況に応じて動き、その独立性の高さに驚かされました。
三田ガーデンヒルズは、高層マンションのような垂直方向の広がりではなく、中低層で平面的な広がりがあるコミュニティです。FORROは独立性が高く、人の流れが交差する空間をも走ることができ、人とロボットが同じ空間で行き交う、先進的な未来のワンシーンになり得るのではないかと期待しました。

国内最大規模のロボットポーターサービス運用への挑戦。
FORROの導入で一番苦労したことは「ルートの設計」です。三田ガーデンヒルズは、ガラスが多用された曲線的な意匠を取り入れた空間があったり、また、複数棟構成であることから共用部のセキュリティエリア区分が複雑であったり、様々な面でロボットの走行難易度が高い空間となっています。物件の規模も大きいため、設定された配送経路距離は合計で約6.6kmにもおよびます。このような企画・規模の建物で、人の流れを計画するだけでも難しいところを、ロボットも走らせるようにするのは至難の技でした。人もロボットもどちらも動きやすくするために、扉一つひとつの配置や、開き扉かスライド扉かといった扉の種類についても細かく検討していきました。建築側の変更に応じたロボット側の調整も、非常に大変だったと思います。
多くの課題がある中でも、川崎重工業さんには一つひとつの障壁に前向きに取り組んでいただき深く感謝しております。また、皆さんが“好き”であることを大切に、開発に向き合われていることを強く感じました。特に導入ハードルが高い本物件において、多くの関係者の方々と連携して走行するところまで達成できたことは、一つの大きな成果だと感じています。